4人サンクトペテルブルグ(以下「ヨンクト」)は、ランダムで、職人スタート、建物スタート、貴族スタート、アップグレード(以下「UG」)スタートが割り振られますが、最も重要なのは、「自分が貴族何番手なのか」、です。それにより、戦略を変える必要があります。
2人戦、3人戦は、だいたい6~7ラウンドで終わりますが、4人戦は、5~6ラウンドです。4人戦でも、ごく稀に7ラウンドに突入することはありますが、本当に稀です。
5ラウンドゲームに持ち込むには、意図的に5ラウンドでゲームを終わらせるような動きが必要です。漠然とやっていると、6ラウンドゲームになります。
私のヨンクトの師匠のAKA(メカダリウス)さんは、「ヨンクトは、5ラウンドで終わらせたい人が2人はいるはずだ。ゲームが5ラウンドで終わらなかったとしたら、誰かが間違えている」、という仮説を立てました。
このゲームには、天文台というユーティリティ建物が2枚存在します。AKAさんは「5ラウンドで終わらせたい2人=天文台を持っていない2人」とは言いませんでしたが、天文台は「好きな山札からカードを1枚ドローする」という能力があり、ヨンクトの場合、普通は、天文台では貴族デッキからドローするため、天文台プレーヤーはゲームエンド時の「貴族の種類数ボーナス」が伸びやすいです。なので、Facemanは、「5ラウンドで終わらせたい2人=天文台を持っていない2人」、「6ラウンドゲーに持ち込みたい2人=天文台プレーヤーの2人」と解釈しました。
先述の通り、2クト、3クトは、いわゆる「アップグレード貴族の集め合い」になってしまうのですが、ヨンクトは、貴族をあまり買わず、建物点で勝負するという「建物プレイ」で勝つ勝ち筋が存在します。
建物プレイで勝つために重要なことがあります。それは、「何としてもゲームを5ラウンドで終わらせること」、です。
5ラウンドゲームでは、勝ちのボーダーは、だいたい50点です。それが、6ラウンドゲームになると、だいたい80点~100点になります。これは、「6ラウンドゲームは得点機会が1ラウンド分多い」ことと、「6ラウンドゲームはゲームエンド時の貴族の種類数のボーナスが大きくなる」ことに起因します。したがって、「1点の持つ価値」は、6ラウンドゲーより5ラウンドゲーの方が高いと言え、序盤から建物点を取って勝負する建物プレイは、6ラウンドゲーより5ラウンドゲーの方が都合がいいと言えます。
酒場は1コスのユーティリティ建物で、「建物フェーズ終了時、2金払って1点を購入できる(10金5点まで:UG建物で建物フェーズにお金収入がある場合は、それを入手した後で酒場への投入金額を決めれる)」という能力で、2枚存在します。
結論から言うと、「酒場は強い」、です。しかし、野良BGAでは酒場の強さがわかっていない人が多く、(ラウンド内)建物1番手じゃなくても、酒場が回ってきて入手できることがあります。
普通は、酒場は、最終ラウンドだけ能力を使います。通常の建物は、フェーズ終了ごとに得点収入を得ますが、酒場に投入するお金は使い切りのため、最終ラウンド以外は酒場にお金を投入するより通常建物を建てた方が得だからです。ただ、最終ラウンドの1ラウンド前で、「得点を得たいけど下手にカードを買って余計な貴族をめくりたくない」と言った場合などは、最終ラウンドの1ラウンド前から酒場を使うというプレイもあります。
先述の通り、「1点の価値」は6ラウンドゲーより5ラウンドゲーの方が高いので、酒場は、5ラウンドゲーで特に効果的です。酒場は、「自身1コス+10金5点」なので、実質、「11金5点」です。仮に5ラウンド目に通常建物で5点を得ようとする場合、5点の通常建物は17コスなので、酒場は「最終ラウンドに発動する6金プレイ」と言えます。6ラウンドゲーになると、酒場の5点は、実質、誤差の範囲です。また、6ラウンドゲーは5ラウンドゲーと比べてお金が潤沢にあるので、「11金5点」の価値自体が下がり、5点のためなら17金払ってもいい、という現象が発生し、6ラウンドの建物フェーズのために、5ラウンドで、5ラウンドに買われなかった建物を握る、といった事態になることも多いです。
野良だと、1ラウンド目にいきなり酒場を建てる人もいますが、このゲームは1金のやりくりがシビアなゲームなので、たった1金ですが、手札に余裕がある間は、建てずに手札に抱えておくべきです。
酒場プレーヤーは5ラウンドでゲームを終わらせたいわけですが、5ラウンドの職人フェーズまで手札に酒場を抱えておくと、いいことがあります。
非常に多くの場合、5ラウンドゲームのトリガーは、「建物デッキ枯れ」によって引かれます(ごく稀に「職人デッキ枯れ」のケースも)。建物カードは、職人フェーズ終了時の空きスロットの分だけめくられるため、建物デッキ枯れを起こすためには、5ラウンドの職人フェーズに建物デッキが切れるよう空きスロットを作る必要があります。
5ラウンドの職人フェーズまで酒場を手札に抱えておくことに成功した場合、5ラウンドの職人フェーズに手札から酒場をプレイすることにより、「1手パス」が出来ます。この1手パスの間に、もしかしたら、誰かがエンドフラグを切ってくれるかもしれません。
倉庫は2コスのユーティリティ建物で、「通常では手札は3枚しか持てないところ、4枚まで持てるようになる」という効果で、1枚しか存在しません。
Facemanの感覚では、「ヨンクトは倉庫は必要ない」です。ヨンクトはカードをハンドする機会が少ないため、手札上限3で十分という印象です。
なお、2クトでは、倉庫は「最強ユーティリティ」です。2クトは、主にアップグレード貴族を多く手札に抱えるため、倉庫があると非常に戦いやすいです。
天文台は6コスのユーティリティ建物で、「能力を使わない場合、建物フェーズ終了時1点収入、能力を使った場合職人山、建物山、貴族山、UG山のどれかから1枚カードドロー(ただし枚数が1枚しか残っていない山からは引けない)」という効果で、2枚存在します。
1ラウンド目に天文台を建てた場合、昔は「職人山から引く」のが良しとされていました。しかし、「エブリゲーム・モンスター」のどらねこさんが、「初手貴族山」というプレイを確立させました。貴族山から引いた場合、18貴族、あるいは場合によっては16貴族は、1ラウンド目に立ちませんが、天文台プレイは貴族の種類を増やすのが重要なので、それぞれ2枚ずつしか存在しない18や16が引ければラッキーと考え、それ以外を引いたら普通に建てる、というイメージです。
天文台プレーヤーは、貴族の種類数ボーナスで勝負するイメージなので、先述の通り、6ラウンドゲーに持ち込みたいところです。
1ラウンド目から天文台をプレイするのは強力ですが、貴族2番手は、1ラウンド目に12貴族クラスが手に入るかもしれないし、仮に1ラウンド目に18も16も出なかった場合、2ラウンド目の貴族フェーズで18または16が期待出来るので、貴族2番手の場合は、天文台を急いで建てずに、3ラウンド目あたりから建てる、と言うプレイもあります。天文台は、3ラウンド目からの発動でも十分強いです。
建物プレイに天文台は必要ありませんが、天文台は爆発的な点数を産むポテンシャルを持っているため、建物プレイでも敢えて天文台を買い、天文台能力を使わず、「ちょっと高い5建物」のつもりで1点にする、というプレイもあります。
仮にゲームが5ラウンドで終わると仮定した場合、4ラウンド目の「5コス職人(2枚目の6職人、3枚目の7職人含む)」は、「2ラウンドかけて1金得」と言えます。
Facemanは、「2ラウンドかけて1金しか得しないなら、その5金をなんらかの得点行動にまわした方が得」と考えます。
幸い、2023/07/16現在、その法則を知っているプレーヤーは少なく、野良プレーヤーは、みんなガバガバ5コス職人を買ってくれます。中には、「買えない6職人を職人フェーズにハンドしてくれる」という、神のようなプレーヤーもいます。
もしこの法則が広く知れ渡ってしまったら、もしかしたら4ラウンドの5コス職人を買わないと5ラウンドゲーに持ち込めなくなるかもしれないので、その時はこのwikiに加筆が必要となることでしょう。
「初手病院最強説」というのは、もともとは、「プエルトリコが出た直後ごろ、4プで、1番手が初手に病院を建てるのが最強」と噂されたのが発端です。その後、そのプレイが廃れたどころか、「ホスピスを病院と訳したのは誤訳」ということで、「ホスピスの訳は宿屋が正しい」ということになり、プエルトリコでは、病院そのものが過去の物となりました。
と、昔話はこのへんにして、サンペテにも、「初手病院最強説」が存在します。
病院というのは「14建物(4点収入)」のことです。
もともとは、Facemanのヨンクトの師匠であるAKA(メカダリウス)さんが始めました。しかし、AKAさんの初手病院とFacemanの初手病院は、コンセプトが大きく異なります。
AKAさんの初手病院は、主にUG1番手の時に仕掛け、「UGフェーズにUG建物を入手することを見越し、UG建物が稼働する2ラウンドより前の段階で4点得ておくギャンブルプレイ」という位置づけでした。
Facemanの初手病院は、主に貴族4番手の時に仕掛け、「UG建物に置き換わればラッキーだが、必ずしもUG建物に置き換わる必要はなく、2ラウンドの職人を買う金を考慮した上で、最も高価な買い物をする」というコンセプトに基づくものです。
初手で病院を建てるということは「建物プレイ」ですので、先述の通り、なんとしてもゲームを5ラウンドで終わらせる必要があります。
このゲームには、「1金収入2金、1点収入3金の法則」というのがあります。
このゲームのUG山は、「UG職人10枚、UG建物10枚、UG貴族10枚」で構成されており、このうち、特殊(かつハズレ)なUG建物の「マリンスキー劇場(10コス:貴族の枚数x1金収入)」を除く9枚のUG建物のコストは、すべてこの「1金収入2金、1点収入3金の法則」に従っています。例えば港(16コス5金収入2点収入)の場合、5x2+2x3=16で、16コスとなります。
また、「2金の含み損の法則」というのもあり、通常の建物は、全て「2金の含み損」を持っています。例えば病院(14コス4点収入)の場合、「1金収入2金、1点収入3金の法則」で行くと4x3=12コス相当となり、「2金の含み損」ということになります。
通常の建物は、安いものほど「2金の含み損」が大きく効いてくるので、出来れば(買える範囲で)高いものを買いたいです。ただし、5建物と8建物は5枚ずつ存在するので、5建物と8建物は、重なれば強いです。
貴族のコストは特殊で、以下の通りです。
4貴族(ラモス)(6枚):1金収入:2金の含み損
7貴族(Gピン)(5枚):2金収入:3金の含み損
10貴族(5枚):3金収入:4金の含み損
12貴族(4枚):4金収入:4金の含み損
14貴族(3枚):4金収入1点収入:3金の含み損
16貴族(2枚):5金収入2点収入:「1金収入2金、1点収入3金の法則」通り(UG建物「港」と同能力)
18貴族(2枚):6金収入3点収入:3金の得(6x2+3x3=21コス相当)
また、UG貴族のコストは、特殊UG貴族の17コスの「徴税吏(職人の枚数x1金収入)」を除くと、「1金収入2金、1点収入4点」となっており、「1金収入2金、1点収入3点の法則」から行くと、「得点収入が少ないものほど優秀」ということになります。ただ、高コストのUG貴族は、10貴族や12貴族をつぶして建てるケースが多く、10貴族や12貴族はもともとの含み損が大きいため、得点収入が高いUG貴族も、意味なくはありません。あと、教皇(6コス1金収入1点収入)と客室メイド(8コス2点収入)は、法則から行くと教皇の方が優秀なのですが、教皇は「小さすぎる」という欠点があり、教皇は「ラモスと置き換わることで初めて客室メイドより優秀」ですが、教皇は必ずしもラモスと置き換わるとは限らず、Gピンと置き換わることも珍しくなく、その場合、「客室メイドの方が優秀」となります。
UG職人は、「アイコンが一致しないとUG出来ない」という特徴がありますが、その分、コスパは全般的にいいです。
3UG(4コス)(1枚):青カード(建物カード)1金安
4UG(6コス)(1枚):橙カード(貴族カード)1金安
5UG(8コス)(2枚):6金収入(3金で3金収入):3金プレイ
6UG(10コス)(3枚):3金2点収入(4金で2点収入):2金プレイ
7UG(12コス)(3枚):6金1点収入(5金で3金収入1点収入):4金プレイ
これだけ見ると、7UGが優秀に見えます。7UGと5UGだと、ベースのコストを考慮すると5UGの方が優秀ですが、このゲームは「7職人は嫌だから5職人がいい」なんて言ってられず、買える職人を買う感じなので、7職人を買わざるを得ないケースも多く、そういう意味では、やはり、7UGは優秀です。序盤は金収入を増やすのが大事なので、6UGは5UGや7UGと比べて、「金収入が増えない」「コスパも2金プレイで良くない」という点で不遇です。BGAには日本時間0時以降に現れる「MarkTJaipur」というヨンクトプレーヤーがいるのですが、彼は、1ラウンドの職人で、4と5があれば4ではなく5、6と7なら6ではなく7を買うという習性があります。私は、UG1番手ならまだアリかもと思いますが、彼はUG何番手かに関係なく、UG4番手でもこれをやってくるので、不当に得するプレーヤーが出てきます。私は、基本的には、職人は安い方から買うべきだと思っています。
緑デッキ(職人山)は、3~7の職人6枚ずつと、全てのUG職人に化けられる8職人(通称「オヤジ」)1枚の31枚で構成されています。オヤジは高くて、しかも「重ならない」という欠点もあるので、出来れば早くアップグレードしたいです。5UG、6UG、7UGへのアップグレードの効率は、以下の通りです。
5UG(8コス)(2枚):6金収入(1金で3金収入):5金プレイ
6UG(10コス)(3枚):3金2点収入(2金で2点収入):4金プレイ
7UG(12コス)(3枚):6金1点収入(4金で3金収入1点収入):5金プレイ
というわけで、オヤジを書き換える上でも、6UGは「不遇、たいやき~」、でした。
貴族1番手は単純です。「18金抱えて、18貴族か16貴族が出るのを祈る」、です。
職人はすべて3金収入で、コストは3~7のものが6枚ずつ、8のものが1枚だけ存在します。初期資金は25金なので、「6-8」スタート、「7-8」スタート以外であれば、職人収入が入った段階で18金以上残ります(このゲームは、同一のカードを買う場合、重なった分だけコストが安くなるので、「7-7」の場合、7金+6金の13金で済み、職人収入6金で18金になれます)。
多くの場合、建物フェーズで建物を8枚めくるとなんらかのユーティリティは出るため、誰かが1枚目の貴族の空きを作ってくれます。
もし貴族4番手が自分の貴族をめくりに行った場合、5枚目の貴族をめくりに行くのが良い選択です。暴力的に強い初手18または初手16の確率が上がり、貴族を2枚入手してエンドゲーム時のボーナスが期待できます。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm42049295
順番通り行くならここは「貴族2番手の戦略」ですが、このゲームは「貴族4番手」の振る舞いが非常に重要なので、2番目に「貴族4番手の戦略」を持ってくることにしました。
2023/07/16現在、BGAでは、「4枚目の貴族をめくりに行く貴族4番手」が非常に多いです。先述の通り、貴族4番手が自分の貴族をめくりに行ったところで、4貴族のラモスか、7貴族のガチャピンが回ってくるのが関の山。その結果、5枚目の貴族をめくりに行った貴族1番手が高い確率で18もしくは16を入手して、ワンサイドゲームになってしまいます。
貴族4番手は、「建物1番手で天文台がめくれた時」は初手天文台でいいですが、そうでなければ、「初手病院(14建物)」が良い選択です。ヨンクトは、貴族をあまり集めずに、建物点の差で勝ちに行く勝ち筋が存在します。初手14建物の4点の差で勝つケースも多々あります。
初手14建物をやるということは、「建物プレイ」なので、先述の通り、なんとしてもゲームを5ラウンドで終わらせてください。6ラウンドゲーになったら、おそらく最下位となるでしょう。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm42049312
貴族3番手は、3枚目の貴族をめくりにいくかどうか悩ましいです。3枚目の貴族をめくりにいくと、おそらく貴族4番手が4枚目の貴族をめくりに行って、貴族1番手が5枚目の貴族をめくって、高い確率で貴族1番手が勝ってしまいます。
かといって、貴族2枚空きでは、1ラウンド目に貴族を入手出来た2人が優勢で、3位以下になる確率も上がります。
Facemanは、貴族3番手の場合、3枚目の貴族は空けにいくことが多いです。
ラ・グランハでは、最初の交易品をカードにして、左2枚、右1枚でスタートする、通称「バランスドスタート」というプレイがあります。それにあやかって、ヨンクトでは、「初手で税関(8建物)とGピン(7貴族)を建てる」というのを「バランスドスタート」と名付けたいと思います。
貴族3番手ではGピンクラスが回ってくると踏んで、2ラウンドの職人の金を考慮した上で、税関(8建物)を建てる、というコンセプトです。仮に貴族フェーズで10と7が選べる場合、UG貴族には8コスの人が2人いるので、10ではなくGピンを選ぶ、というプレイもアリかもしれません。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm42049324
貴族2番手は、1R、2Rで貴族を買うため、1Rに余計な買い物は出来ません。5建物なんか建ててはいけなくて、天文台すら建てない方がいいです。
1Rは、基本的には一番高い貴族を買いますが、1Rに18も16も出なかった場合、2Rに18や16が出る可能性を考慮し、12とかは建てず、Gピンクラスでお茶を濁したほうがいいかもしれません。
あと、貴族2番手ならではの戦略があります。それは、「6ラウンドゲーに持ち込む」、というものです。
ヨンクトは、5ラウンドゲーでなかった場合、まず間違いなく6ラウンドゲーです。6ラウンドは、初期貴族2番手は、貴族1番手になります。また、その頃には貴族山もだいぶ枯れかかっているはずなので、初期貴族1番手には貴族がまわらない事も多々あります。天文台プレーヤー2人が貴族山からドローした結果、貴族山の残りが1枚で、通常の貴族が初期貴族2番手だけにしか配給されない、というケースもあります。
貴族2番手は6ラウンドゲー志向がいいので、天文台が取れる場合は積極的に取りに行きましょう。