アークノヴァ/マップ のバックアップ(No.8)


総評

マップ名固有効果固有の保全ボーナス保全点ボーナスとくちゃん評価(SABC)
提携4大学3職員3
展望塔展望塔の隣接を裏返すと2訴求点お金で後援者210A
屋外区域屋外区域に隣接している通常囲い地の大きさ+21保全点021A+
シルバー湖湖の周りに2金が多い連続手番120A+
商業港1ターンに1度カードを3金で売れる大学111B+
園内レストラン園内レストランに隣接すると1収入爬虫類館/大型鳥類館201B
研究機関動物カードの条件1つ無視2機敏102A
アイスクリーム屋ボーナスで売店無料設置/全て獲得すると各売店+1金2育児嚢012S
ハリウッド・ヒルズ後援者獲得ボーナス/全て獲得すると後援者レベル-1提携動物園111B-
マップA初心者用マップ1保全点222-
マップ0初心者用マップ1保全点222-

個別評価

展望塔

展望塔.png

展望塔の周囲は4マスあり、別々の囲い地にして裏返すと計8訴求点。野生復帰および爬虫類館や大型鳥類館の建設による移動を利用すると再利用も可能なので、うまくやれば12訴求点くらいは固いと考えられます。
この能力、純粋に得点効果を見積もれるマップ能力の中では最強だと私は思っています。それはなぜかを考える上で、必要な基礎的な情報をまだまとめていなくて恐縮なんですが、結論だけ言うと、アークノヴァでは動物カードから得られる訴求点の単位コストは3金弱くらいになるように設計されているようです。
少し脇道に逸れますが、展示館の建設では2金で占有された1マスと1訴求点が得られるので、動物を出すよりも収入と得点の効率自体は良いんです。なので、展示館は「お金,建設力,必要な動物を飼うためのスペース」に余裕がある限りは、常に建設したほうが特だという結論が導けます。
話を戻して、展望塔によって得られる12訴求点を他のマップで得ようとすると、ざっと30金強くらい必要になるわけです。お気づきでしょうか?お金が潤沢なシルバー湖でもマップから得られるお金は22金止まりです。1Rからフル稼働の都合の良い園内レストランでも、5R終了で20金、長引いて6R終了になっても25金です。(アイスクリーム屋だけは別格なので議論外w)
そもそも、お金を訴求点に変換するには囲い地を作ったり動物を出したりする手数が必要なわけですが、展望塔能力による12訴求点分はそれすらすっ飛ばしてしまっています。私の最短ゲーム終了手数の26ターンは展望塔で出していますが、順調なときにゲームを早く終わらせられるアグロ型なのも頷けます。
では、そこまで強い能力を持っていながらなぜ4位止まりになってしまったか・・ですが、状況は完全に定かではないけど、おそらく序盤から中盤にかけての手の狭さにより、拡大再生産が非効率になって結果的に手数がかかってしまうケースが結構あったからです。
展望塔周りを活かしきるためには囲い地のサイズや置き方の制限も大きくなるし、特に相性の良い爬虫類館による大量移動を実現しようとすると、小型の爬虫類がたくさん必要になります。さらに移動させて空になった囲い地に飼う小型動物も必要です。
一般的に競争率の高い印象のある小型動物を、そこまで継続的に取り続けられるでしょうか…。また、爬虫類の保全計画がないときに爬虫類を優先して、保全計画争いに遅れが生じないでしょうか…
マップボーナスは5金マスが2ヶ所あってお金には恵まれていますが、どちらも展望塔周りを優先するとやや取りにくい位置です。何よりもカードを拾えるマスが1ヶ所しかないのがネックで、序盤から小型動物を集めづらい一因になっていると思われます。
このように、強力な固有能力を持つがゆえにデメリットも多くなるように設計されている印象ですね。
もちろん、これらの特徴から仮に引きが良くて展開が上振れしたらそのときこそ最強マップに躍り出るでしょうが、そもそも引きの良さを発揮するには噛みつかずにリスクを負ってドローする必要があるわけで、序盤の出せる動物1枚も引けなかったら大幅に遅れるような状況で、はたしてそこに飛び込んでいくのか?・・という問題があります。

屋外区域

屋外区域.png

屋外区域周りで16金節約できるし、建設のボトルネック解消にもなる。2マス+1マスの建設でサイズ2+3や4+1の動物2枚出しができる自由度の高さ。保全計画ボーナスの2マスでも(サイズ4の)大型動物を飼え、野生復帰できれば大量に保全点を得ながら更なるボーナスも解放し、また大型動物を飼うスペースができる。建設に手数をかけずにこの動きができるのは屋外区域だけです。
提携動物園を取れるマップボーナスがあるのも、シンプルにアクションカード改良の加速効果が大きい。研究機関による大学と比べると、提携動物園は何かしらは残るから、取れなくなってアクションカード改良の予定が破綻するリスクも少なく、安定している。
このように、計画の進めやすさからか、屋外区域は意外と受けの広い印象を持ってます。ターンベースで手札や場のカードを見ながらいろいろ考えていると、新たなルートを思いつくことが多いのも屋外区域のときな気がしてます。

シルバー湖

シルバー湖.png

序盤から湖周りで大量に得られるお金と2評判、およびダブルアクションの保全計画ボーナスに特色があると思います。
たぶん一般的な評価ではこっちが2位に来そうではあるけど、早めにお金を大量に得ても意外とそれを拡大再生産に使い切れるケースが少ないのと、完遂ボーナスの1〜2保全点の噛み合いの悪さ、およびゲームが長引かないとなかなかダブルアクションの保全計画ボーナスを有効に使えないことから、少し下方修正された感じです。
お金を使い切れないというのは、例えば建設を裏返して2Rまでに小さい建物中心で湖周りをたくさん埋めたとすると、手元にお金は潤沢でも都合よく高価な小型動物を手札に持ってないと使い切れません。ここで使えずに動物出すのが3Rになると、訴求点が収入に貢献するのは4Rからになるので、5〜6Rにはもうゲームが終わることを考えると、効果は限定的です。この場合、シルバー湖のメリットはただ他のマップよりもお金が多いだけ・・になってしまいます。
逆に、序盤から大型動物を出していく場合はお金は必要になるけど、4〜5マスの囲い地を建てても湖周りを広く埋めることはできません。それでも4〜6金は得られるので、他のマップよりも良好だとは思いますが。
ユニーク建物などを利用して、2Rまでにたくさんお金を得つつそれらを全部動物や協会への寄付に投じきり、保全計画争いでも先行するような流れになれば、それは相当強いと思います。
アークノヴァは、(メインの動物部分に関しては)「お金,飼うための囲い地(建設),飼う動物(カード)」のボトルネックを解消するゲームなんで、お金だけあってもしょうがないんですよね。
通用口など収入系の後援者に恵まれてても、残りの人たちがものすごい速さで休憩して、最後までお金が有り余ったままゲームが終わっちゃったらたぶん負けますw
まあ、お金が序盤からたくさん入るとプレイ自体はしやすいから、シルバー湖は初心者でも比較的まともな得点を出しやすいのは確かでしょうし、そのために巷では評価が高くなっているのかな?・・と推察します。
とはいえ、私の評価でも2〜5位までは僅差なので、しばらくしたらやっぱシルバー湖のほうが上だった・・となる可能性がないわけではないですがw

商業港

商業港.png

商業港の特徴は、いつでも手札を3金に替えながら回していけることと、なんといってもマップから取れる乗数トークンです。
最後に乗数トークンを協会に置いて、保全計画を2回実行できれば勝ち確レベルに強いけど、そこに到達する前にゲームを終わらせられてしまうと高確率で負ける・・という、両極端な性質を持っています。
展望塔がアグロ(先行逃げ切り型)なら、商業港は真逆でコントロール(後半追い上げ型)です。
商業港のマップ能力は、動物の特殊効果などを除いては、端的には「カードアクションを踏むたびに3金発生させる効果」だと考えることができると思います。噛みつきの代わりに3ドロー1捨てすると、手札が1枚増えるからです。(一般的に噛みつきのほうが有効で、ドローすると要らないカードも引いてくると仮定。)
どうしても噛みつきたいカードがめくれてメリットを享受できないときもありますが、序盤からマップ能力を発動させるとだいたいこんな感じで推移するでしょう。
左下から入ると右下の5金ボーナスはしばらく取れないし、他のお金に特色のないマップでも5金ボーナスを拾えることを考えると、そこまで魅力的な効果じゃない気がします。シルバー湖のように序盤から大量のお金を得ることはできないし、ドロー中心になる以上良いカードを引けるかどうかも運次第で、基本保全計画への特化(アイコン選び)もしづらい。
あと、終盤に使いたい機敏のマップボーナスが左下にあり、序盤に埋めなければならない流れになるのも地味なマイナスポイントです。
このように、弱くはないけど総合的に見てちょっと下になってしまうかな?・・という感じですね。
序盤の3ドローで出せる動物を1枚も引けず、出遅れるような経験を何度かしています。

園内レストラン

園内レストラン.png

現金収入に恵まれていたり、マップボーナスも充実してて一見魅力的に見える・・・んですが、ゲームが進むごとに売店収入がどんどん増えていくアイスクリーム屋とは違い、レストラン周りの収入は常に最大5金です。仮に都合良く1Rに完成できても、得られるお金は5R終了で20金、6R終了で25金です。あれ?シルバー湖なら、序〜中盤にマップから22金入っちゃうんですけど・・・。
このようにそもそもの能力が弱いため、1Rから無理にレストラン周りを埋めにいくのは得策ではありません。後援者のユニーク建物を利用するか、ないときはちゃんと動物方面の拡大再生産と連動させて埋めていく必要があります。
展望塔と同様に4つ目の提携動物園が2保全点なので、大学へは行かずに動物と保全計画に特化して走りきる戦術に向いています。これが決まったときは、実際早期終了も可能だし強いです。
むしろ、保全計画争いをシビアに実行して上回るしか、勝ち筋ないんじゃないでしょうか…。明らかにマップ能力では、大量の訴求点を直接得られる展望塔に劣っていますし。
ただし能力がお金であり、カードを拾えるマップボーナスが3ヶ所もあるので、保全計画争いでは園内レストランに一日の長があります。固有のメリットとして、水域や岩への隣接が容易なことも助けになるでしょう。
できれば最初の1頭目から基本保全計画に合った動物を出すことを優先させて、その後も強い動物を獲得する機会をなるべく逃さないように心がけながら、あとは運に任せましょう!
特記事項として、上記の特性から、基本保全計画に「種の多様性」がないときにふれあい動物園を建てるのは、それでレストランの周囲を埋められたとしても弱めだと思います。

研究機関

研究機関.png

研究機関のマップ能力は、ジャイアントパンダのような強カードの出しやすさに目が行きがちですが、そこまで強力じゃなくてもアイコンが条件になっている動物カードはいろいろあるので、それらを序盤から出していけるという点で、とても丸い能力です。他のマップであれば苦しさしか感じないような重い初期手札でも、研究機関なら回せたりします。
左下から入るプラン以外にも、右辺の5金スペースや右下の評判ボーナスから入って拡大再生産を加速しつつ、早めに大学のマップボーナスに届かせることもできるので、取れる手は多種多様でとても受けが広いと思います。
お金を増やすような能力は特にないですが、マップの5金スペースは2ヶ所あり、左下から入った場合もその上の5金スペースには早めに届かせることができるので、そこまでお金に苦労することもないでしょう。
なんか、プレイ感としてはアークノヴァの中心というか、平均的な展開、結果に落ち着くことが多いイメージ。もちろんハマれば強いですが、印象的な場面は少なく気づいたらゲームが早く終わっていた・・みたいな。
研究機関のマップ能力により出す動物を選びやすくもなるはずなので、それにより基本保全計画に特化しやすいメリットはあると思います。
大学のマップボーナス絡みはやや注意が必要です。屋外区域の提携動物園とは違い、2つ目の大学は取らなくてよい場面もあると思います。大学は便利ではあっても直接お金や得点を生み出さないため、順調に保全計画を踏み続けられる状況なら、研究機関でも大学1つの状態で走りきっちゃったほうが強い気がします。
もちろん、早期に提携動物園と大学を両方2つにするのが、順当な研究機関の拡大再生産のかたちであるとは思いますが。

アイスクリーム屋

アイスクリーム屋.png

アイスクリーム屋のダントツだけは揺るぎそうもないです。同系統の園内レストランと比較しても、以下のようにことごとくアイスクリーム屋が上回っています。
・完成後の収入力で上回るにもかかわらず、5金のボーナスマスが序盤から取りやすい位置にある。
・一見完成が大変なように見えるけど、売店を置きながら展開していけるから実は大差ない。
・売店3マス分のアド+建設を急ぐことにメリットがあるから、盤面全埋めが容易。
・構築過程で後援者を出せる。(園内レストランは脇道に逸れてる)
・マップボーナス全体で見ても、1評判1ヶ所と売店3ヶ所以外はすべて等しい完全上位互換。
完成後も3ヶ所でカードを拾えるので、多少引きが悪くても動物を出しそびれて潤沢な収入を使い切れなくなるリスクは少ない。(むしろお金は足りなくなるくらい。)
場から2評判もらえれば、あと2評判の大学1つ取るだけでアクションカードの改良に届く。
もうやりたい放題ですね。(^^;
それでも、展開が下ブレしてくれれば、まだ他のマップでも勝負できるくらいの差ではありますが。(そうじゃなかったらゲーム成立してないですねw)でもせめて、評判得られるマスは1ヶ所でよかったんじゃなかろうか…

ハリウッド・ヒルズ

ハリウッド・ヒルズ.png

まず、Hを埋めたときに得られる後援者カードが運次第なのがきついです。後援者の中には序盤に引きたい強力なカードもいくつかあるけど、そこまで数は多くないし、条件が厳しくて序盤から出せないカードもあります。
そうなると、運に頼るよりもより確実なマップ右上の5金から得て進めたくなるけど、その場合もそれ以外にこれといったアドはないから、拡大再生産で遅れを取ってしまいます。他のどのマップも強力な固有能力か、少なくとも5金を上回る拡大再生産上のメリットを有しているからです。
Hをあとから埋めてそこで中盤系の強力な後援者カードを引ければ遅れは取り戻せますが、それも確率が低めな運であることに変わりありません。
そして、Hを埋めきると後援者を出しまくれる体制が整いますが、その頃にはごく一部の後援者を除いては、一般に動物や保全計画中心で手を進めていったほうが得点を稼ぎやすい状況になっており、勝利を目指す流れとまったく噛み合っていません。後援者を出しているうちに、ゲームを終わらせられてしまいます。
実戦経験でも、こっちが70点取ってるときにまだ30点の人いるなー・・と思って見たら、後援者いっぱい出してるハリウッド・ヒルズだったりするw
楽しくカード出してるうちにゲームが終わっちゃう、よくあるやつですw
このように不利であるにもかかわらず、評判の範囲からカードを拾えるマップボーナスは埋め方に自由度の低い1ヶ所しかなく、動物方面の拡大再生産をほとんど助けてはくれません。
このハリウッド・ヒルズによる他のマップと比較しての拡大再生産の遅れだけは絶対的なものに思えて、Hを埋めたときの運の力を借りないとどうしようもないので、私はハンデを背負ってるくらいのつもりで気楽にやっています。
運の下ブレは序盤よりも中盤から終盤にかけて発生したほうがまだ痛くないから、私は5金スペースから始めてHはあとから埋めるほうが好きです。序盤はカード増やしても手札があふれやすいのもありますし。
もしかすると、ハリウッド・ヒルズはロマン枠なのかもしれませんねー。運に期待するのも1つのゲームの楽しみ方ではありますし、実際それでうまくいって勝つ場合もあるでしょうから!

ボドリス部