No. | マップ名 | 固有効果 | 固有の保全ボーナス | 保全点ボーナス | とくちゃん 評価(4人戦) | ||
提携4 | 大学3 | 職員3 | |||||
1 | 展望塔 | 展望塔の隣接を裏返すと2訴求点 | お金で後援者 | 2 | 1 | 0 | A |
2 | 屋外区域 | 屋外区域に隣接している通常囲い地の大きさ+2 | 1保全点 | 0 | 2 | 1 | A+ |
3 | シルバー湖 | 湖の周りに2金が多い | 連続手番 | 1 | 2 | 0 | A |
4 | 商業港 | 1ターンに1度カードを3金で売れる | 大学 | 1 | 1 | 1 | B+ |
5 | 園内レストラン | 園内レストランに隣接すると1収入 | 爬虫類館/大型鳥類館 | 2 | 0 | 1 | B |
6 | 研究機関 | 動物カードの条件1つ無視 | 2機敏 | 1 | 0 | 2 | A+ |
7 | アイスクリーム屋 | ボーナスで売店無料設置/全て獲得すると各売店+1金 | 2育児嚢 | 0 | 1 | 2 | S |
8 | ハリウッド・ヒルズ | 後援者獲得ボーナス/全て獲得すると後援者レベル-1 | 提携動物園 | 1 | 1 | 1 | B- |
A | マップA | 初心者用マップ | 1保全点 | 2 | 2 | 2 | - |
0 | マップ0 | 初心者用マップ | 1保全点 | 2 | 2 | 2 | - |
とくちゃん評価:A
上級マップの中でも随一の得点能力を持つ。展望塔の周囲は4マスあり、ここを別々の囲い地にして裏返すと計8訴求点。野生復帰および爬虫類館や大型鳥類館の建設による移動で再利用できることを考えると、平均して5~6回発動で10~12訴求点くらいは現実的に可能だと考えられる。
これはシンプルに他のマップと比べて10点強のアドバンテージを持っているわけで強力なのだが、基本戦略のコスト換算の項(執筆中)でも述べているように動物で訴求点を得ようとすると概ね1訴求点あたり3金弱のコストがかかるので、以下の比較を試みてもその強さがわかると思う。
そもそも、お金を訴求点に変換するには(建設→動物の手順で)手数がかかるので、自動的に訴求点が入ってくる展望塔はそれすらも節約して周囲よりも早く訴求点を進めていくことができるわけで、順調なら非常に高速でゲームを終わらせられるポテンシャルを持っている。
一方、能力が強力な反面、以下のようなデメリットもある。
ハマれば強いことは確かなのだが、このような数々のデメリットが障害になり、ゲームが終わる頃には追いつかれて結構手数がかかってしまったりもする。それでも訴求点分のアドがあるために大崩れはしづらく、安定している印象。
一部、巷での評価は最悪みたいなのだが、著者(とくちゃん:Tomoaki Tokunaga)のBGA結果では2回に1回は30ターン未満でゲーム終了まで到達しており、30ターン以上かかったゲームでも大幅に遅れることは滅多にないので、他のマップと比べても決して悪くない。
以下、展望塔をプレイする上でいくつかポイントになると思われる事柄を挙げておく。
とくちゃん評価:A+
屋外区域周りのギミックと、提携動物園の配置ボーナスに特色のあるマップ。上級マップの中では唯一お金を得られる配置ボーナスがないが、屋外区域周りで最大4×4=16金節約できるので、ここをうまく活用していけばそこまでお金に苦労することもない。
お金の節約以外にも建設のボトルネックを解消できるのが強い。通常は改良後の建設アクションを強さ5で打っても、複数の囲い地を同時に作ろうとするとその多くが小型になってしまうが、屋外区域に隣接させれば複数を大型ないし中型用にすることができ、出せる動物の受け皿が大幅に広くなる。
保全計画収入の2スペース囲い地も然りで、これを屋外区域に隣接させれば、建設に手数をかけずに(サイズ4の)大型動物を飼う場所ができる。さらにここに飼った動物を野生復帰させれば、大量の保全点を得ながらまたこの無料の囲い地を利用できるわけで、これは他のマップにはない屋外区域ならではの効率的な動きである。
提携動物園を取れる配置ボーナスの強さも絶大で、屋外区域の戦略はほぼここに由来すると言っても過言ではないほど。通常は1ラウンドに協会職員を使って1つしか取れない提携動物園をもう1つ取れるわけで、次に挙げたようにいくつかの固有の強い動きが可能となる。研究機関の大学とは違って提携動物園は5つあるから、種類が関係しなければ取りはぐれて計画が破綻するリスクもない。(BGAの全員同じマップのゲームは除く)
このように受けが広く、ある程度どのような手札が来ても対応できるのが屋外区域の強み。できることが多い中で的確に最適な戦術を選択する必要があるので、比較的玄人向けのマップだとは思う。だが噛み合えば多少雑に進めても十分強いので、BGAでも30ターン未満の好結果を残している人が多い印象。(対戦して強いなーと思った人の履歴を見たときに、他のマップでは軒並み30ターン以上かかっていても、屋外区域は28~29ターンで終わっていたことが何度かあった。)
キーとなる提携動物園の配置ボーナスは取りやすい位置にはあるが、1回の建設で到達することは不可能なので、ユニーク建物系の後援者がないときは、マップ上辺か左辺から入って建設アクションを2~3回踏んで取る。
物にもよるが屋外区域のユニーク建物の有用さはアイスクリーム屋に次ぐレベルだと思うので、初期手札にあるときは積極的に使っていきたい。
右下からスタートして屋外区域周りをすぐに活かす手もあるが、提携動物園ボーナスの真逆なので、ユニーク建物を利用したりうまく建設を進めて早期に左上まで伸ばすプランがない限りはやめておいたほうが無難だと思う。
屋外区域周りの使用は急ぐ必要はなく、3ラウンド辺りからでも十分。コスト軽減できるとはいってもそもそも大型動物は重く、序盤は小型動物中心で拡大再生産を進めたほうが収入効率は良い。
1ラウンドのスマトラトラ出しがクローズアップされている印象があるが、これも罠だと思う。研究2の大学と後援者アクションでお金を取ってまで出したとして、それでお金が枯渇する上に収入も大して増えないので、2ラウンドにできることがかなり制限されてしまう。
屋外区域は何よりも2スペース囲い地の保全計画収入が強いので、なるべく早めにオープンにしたい。序~中盤にかけては地道に拡大再生産を進めて収入を整えた上で、終盤に潤沢になったお金を使って屋外区域周りに強力な大型動物を出しまくるような動きが一番強いと思う。
提携動物園は4つ目には保全点が付いていないので、早く取れるとはいえ一般には3つで十分。その状態で大学は取らずに保全計画中心で走りきれてしまえば一番速いが、保全計画先が少ないときはひとまず大学を取って、協会以外のアクション効率を高めて勝負する流れになると思う。
序盤から湖周りで大量に得られるお金と2評判、およびダブルアクションの保全計画ボーナスに特色があると思います。
たぶん一般的な評価ではこっちが2位に来そうではあるけど、早めにお金を大量に得ても意外とそれを拡大再生産に使い切れるケースが少ないのと、完遂ボーナスの1〜2保全点の噛み合いの悪さ、およびゲームが長引かないとなかなかダブルアクションの保全計画ボーナスを有効に使えないことから、少し下方修正された感じです。
お金を使い切れないというのは、例えば建設を裏返して2Rまでに小さい建物中心で湖周りをたくさん埋めたとすると、手元にお金は潤沢でも都合よく高価な小型動物を手札に持ってないと使い切れません。ここで使えずに動物出すのが3Rになると、訴求点が収入に貢献するのは4Rからになるので、5〜6Rにはもうゲームが終わることを考えると、効果は限定的です。この場合、シルバー湖のメリットはただ他のマップよりもお金が多いだけ・・になってしまいます。
逆に、序盤から大型動物を出していく場合はお金は必要になるけど、4〜5マスの囲い地を建てても湖周りを広く埋めることはできません。それでも4〜6金は得られるので、他のマップよりも良好だとは思いますが。
ユニーク建物などを利用して、2Rまでにたくさんお金を得つつそれらを全部動物や協会への寄付に投じきり、保全計画争いでも先行するような流れになれば、それは相当強いと思います。
アークノヴァは、(メインの動物部分に関しては)「お金,飼うための囲い地(建設),飼う動物(カード)」のボトルネックを解消するゲームなんで、お金だけあってもしょうがないんですよね。
通用口など収入系の後援者に恵まれてても、残りの人たちがものすごい速さで休憩して、最後までお金が有り余ったままゲームが終わっちゃったらたぶん負けますw
まあ、お金が序盤からたくさん入るとプレイ自体はしやすいから、シルバー湖は初心者でも比較的まともな得点を出しやすいのは確かでしょうし、そのために巷では評価が高くなっているのかな?・・と推察します。
とはいえ、私の評価でも2〜5位までは僅差なので、しばらくしたらやっぱシルバー湖のほうが上だった・・となる可能性がないわけではないですがw
商業港の特徴は、いつでも手札を3金に替えながら回していけることと、なんといってもマップから取れる乗数トークンです。
最後に乗数トークンを協会に置いて、保全計画を2回実行できれば勝ち確レベルに強いけど、そこに到達する前にゲームを終わらせられてしまうと高確率で負ける・・という、両極端な性質を持っています。
展望塔がアグロ(先行逃げ切り型)なら、商業港は真逆でコントロール(後半追い上げ型)です。
商業港のマップ能力は、動物の特殊効果などを除いては、端的には「カードアクションを踏むたびに3金発生させる効果」だと考えることができると思います。噛みつきの代わりに3ドロー1捨てすると、手札が1枚増えるからです。(一般的に噛みつきのほうが有効で、ドローすると要らないカードも引いてくると仮定。)
どうしても噛みつきたいカードがめくれてメリットを享受できないときもありますが、序盤からマップ能力を発動させるとだいたいこんな感じで推移するでしょう。
左下から入ると右下の5金ボーナスはしばらく取れないし、他のお金に特色のないマップでも5金ボーナスを拾えることを考えると、そこまで魅力的な効果じゃない気がします。シルバー湖のように序盤から大量のお金を得ることはできないし、ドロー中心になる以上良いカードを引けるかどうかも運次第で、基本保全計画への特化(アイコン選び)もしづらい。
あと、終盤に使いたい機敏のマップボーナスが左下にあり、序盤に埋めなければならない流れになるのも地味なマイナスポイントです。
このように、弱くはないけど総合的に見てちょっと下になってしまうかな?・・という感じですね。
序盤の3ドローで出せる動物を1枚も引けず、出遅れるような経験を何度かしています。
現金収入に恵まれていたり、マップボーナスも充実してて一見魅力的に見える・・・んですが、ゲームが進むごとに売店収入がどんどん増えていくアイスクリーム屋とは違い、レストラン周りの収入は常に最大5金です。仮に都合良く1Rに完成できても、得られるお金は5R終了で20金、6R終了で25金です。あれ?シルバー湖なら、序〜中盤にマップから22金入っちゃうんですけど・・・。
このようにそもそもの能力が弱いため、1Rから無理にレストラン周りを埋めにいくのは得策ではありません。後援者のユニーク建物を利用するか、ないときはちゃんと動物方面の拡大再生産と連動させて埋めていく必要があります。
展望塔と同様に4つ目の提携動物園が2保全点なので、大学へは行かずに動物と保全計画に特化して走りきる戦術に向いています。これが決まったときは、実際早期終了も可能だし強いです。
むしろ、保全計画争いをシビアに実行して上回るしか、勝ち筋ないんじゃないでしょうか…。明らかにマップ能力では、大量の訴求点を直接得られる展望塔に劣っていますし。
ただし能力がお金であり、カードを拾えるマップボーナスが3ヶ所もあるので、保全計画争いでは園内レストランに一日の長があります。固有のメリットとして、水域や岩への隣接が容易なことも助けになるでしょう。
できれば最初の1頭目から基本保全計画に合った動物を出すことを優先させて、その後も強い動物を獲得する機会をなるべく逃さないように心がけながら、あとは運に任せましょう!
特記事項として、上記の特性から、基本保全計画に「種の多様性」がないときにふれあい動物園を建てるのは、それでレストランの周囲を埋められたとしても弱めだと思います。
研究機関のマップ能力は、ジャイアントパンダのような強カードの出しやすさに目が行きがちですが、そこまで強力じゃなくてもアイコンが条件になっている動物カードはいろいろあるので、それらを序盤から出していけるという点で、とても丸い能力です。他のマップであれば苦しさしか感じないような重い初期手札でも、研究機関なら回せたりします。
左下から入るプラン以外にも、右辺の5金スペースや右下の評判ボーナスから入って拡大再生産を加速しつつ、早めに大学のマップボーナスに届かせることもできるので、取れる手は多種多様でとても受けが広いと思います。
お金を増やすような能力は特にないですが、マップの5金スペースは2ヶ所あり、左下から入った場合もその上の5金スペースには早めに届かせることができるので、そこまでお金に苦労することもないでしょう。
なんか、プレイ感としてはアークノヴァの中心というか、平均的な展開、結果に落ち着くことが多いイメージ。もちろんハマれば強いですが、印象的な場面は少なく気づいたらゲームが早く終わっていた・・みたいな。
研究機関のマップ能力により出す動物を選びやすくもなるはずなので、それにより基本保全計画に特化しやすいメリットはあると思います。
大学のマップボーナス絡みはやや注意が必要です。屋外区域の提携動物園とは違い、2つ目の大学は取らなくてよい場面もあると思います。大学は便利ではあっても直接お金や得点を生み出さないため、順調に保全計画を踏み続けられる状況なら、研究機関でも大学1つの状態で走りきっちゃったほうが強い気がします。
もちろん、早期に提携動物園と大学を両方2つにするのが、順当な研究機関の拡大再生産のかたちであるとは思いますが。
アイスクリーム屋のダントツだけは揺るぎそうもないです。同系統の園内レストランと比較しても、以下のようにことごとくアイスクリーム屋が上回っています。
・完成後の収入力で上回るにもかかわらず、5金のボーナスマスが序盤から取りやすい位置にある。
・一見完成が大変なように見えるけど、売店を置きながら展開していけるから実は大差ない。
・売店3マス分のアド+建設を急ぐことにメリットがあるから、盤面全埋めが容易。
・構築過程で後援者を出せる。(園内レストランは脇道に逸れてる)
・マップボーナス全体で見ても、1評判1ヶ所と売店3ヶ所以外はすべて等しい完全上位互換。
完成後も3ヶ所でカードを拾えるので、多少引きが悪くても動物を出しそびれて潤沢な収入を使い切れなくなるリスクは少ない。(むしろお金は足りなくなるくらい。)
場から2評判もらえれば、あと2評判の大学1つ取るだけでアクションカードの改良に届く。
もうやりたい放題ですね。(^^;
それでも、展開が下ブレしてくれれば、まだ他のマップでも勝負できるくらいの差ではありますが。(そうじゃなかったらゲーム成立してないですねw)でもせめて、評判得られるマスは1ヶ所でよかったんじゃなかろうか…
まず、Hを埋めたときに得られる後援者カードが運次第なのがきついです。後援者の中には序盤に引きたい強力なカードもいくつかあるけど、そこまで数は多くないし、条件が厳しくて序盤から出せないカードもあります。
そうなると、運に頼るよりもより確実なマップ右上の5金から得て進めたくなるけど、その場合もそれ以外にこれといったアドはないから、拡大再生産で遅れを取ってしまいます。他のどのマップも強力な固有能力か、少なくとも5金を上回る拡大再生産上のメリットを有しているからです。
Hをあとから埋めてそこで中盤系の強力な後援者カードを引ければ遅れは取り戻せますが、それも確率が低めな運であることに変わりありません。
そして、Hを埋めきると後援者を出しまくれる体制が整いますが、その頃にはごく一部の後援者を除いては、一般に動物や保全計画中心で手を進めていったほうが得点を稼ぎやすい状況になっており、勝利を目指す流れとまったく噛み合っていません。後援者を出しているうちに、ゲームを終わらせられてしまいます。
実戦経験でも、こっちが70点取ってるときにまだ30点の人いるなー・・と思って見たら、後援者いっぱい出してるハリウッド・ヒルズだったりするw
楽しくカード出してるうちにゲームが終わっちゃう、よくあるやつですw
このように不利であるにもかかわらず、評判の範囲からカードを拾えるマップボーナスは埋め方に自由度の低い1ヶ所しかなく、動物方面の拡大再生産をほとんど助けてはくれません。
このハリウッド・ヒルズによる他のマップと比較しての拡大再生産の遅れだけは絶対的なものに思えて、Hを埋めたときの運の力を借りないとどうしようもないので、私はハンデを背負ってるくらいのつもりで気楽にやっています。
運の下ブレは序盤よりも中盤から終盤にかけて発生したほうがまだ痛くないから、私は5金スペースから始めてHはあとから埋めるほうが好きです。序盤はカード増やしても手札があふれやすいのもありますし。
もしかすると、ハリウッド・ヒルズはロマン枠なのかもしれませんねー。運に期待するのも1つのゲームの楽しみ方ではありますし、実際それでうまくいって勝つ場合もあるでしょうから!