バトルライン/基本戦略 のバックアップ(No.1)


戦術カード

戦術カード9種10枚は以下の通り。

1.マイティ系4枚

1.1. リーダー(アレキサンダー・ダリウス)

完全オールマイティ。いずれも、「好きな色、好きな数字」になる。ただ、このゲームは「アレキサンダー対ダリウス」という構図になっているため、もし一人のプレーヤーがアレキサンダーとダリウスの両方を引いた場合、使用できるのはそれらのうち1枚のみで、もう片方はゲーム終了まで手札に抱える必要がある。ただ、アレキサンダー・ダリウスは比較的強い戦術カードに分類されるため、仮に一人で両方引いてしまっても、「相手に引かれなかった」という価値はあるので、それほど悲観する必要はない。

なお、例えば「y4,y5」のところに「y6」のつもりでリーダーを出したが、後述の「霧(フォグ)」などにより、「大きい数字になりたい」という場合がある。リーダーの「好きな色、好きな数字」は、「役が決定する段階」で決めてよいので、仮に「霧(フォグ)」が出された場合、そのリーダーは、「y10」として扱って良い。

普通は、「3枚目の、役を完成させるポジションに使う」ことが多いこの戦術カードだが、ごく稀に、ゲーム終盤、「部隊カードを1枚も出していない列に、『その列の延命』のために、その列の1枚目としてこのカードを使う」という使用法をされることがある。

1.2. 援軍騎兵(コンパニオン・キャバルリー)

「好きな色の8」になるマイティ。麻雀をたしなんでいる方は、「麻雀は3と7が重要」という事はご存知と思うが、このゲームは最大の数字が10なため、「8」が麻雀でいうところの「7」のポジションに相当する。基本的にはウェッジのために使う戦術カードだが、「バタリオンテンパイだがその色のカードが既に10枚見えてしまった」といった場合など、バタリオンのために使うこともある。また、「8」という数字は比較的大きいため、バタリオン同士やホスト同士、また、後述の「霧(フォグ)」の争いのために使用されることも。

1.3. 盾(シールド・ベアラー)

「好きな色の3または2または1」になるマイティ。数字がちいさい分、自由度は高い。これも、ウェッジやファランクスの他、援軍騎兵の項目で述べたような「バタリオンのための使用」もあり得る。

2.移動系3枚

2.1. 裏切り(トレーター)

「相手の部隊カード1枚を自陣に移動させる」戦術。非常に強力だが、部隊カードにしか使えず、相手のマイティ系の戦術カードを対象に取ることは出来ない。うまくいくと、「相手の陣形を崩しつつ自分の陣形のプラスにする」ことで、この戦術カード1枚で「2勝分の働き」をすることもある。「相手の陣形を崩す」というだけの目的で使うことも出来るが、対象に取った部隊カードは、(自陣に置きたくなくても)必ず自陣に置く必要はある。自陣にカードを置くスペースがまったく無い場合、この戦術カードを使用することはできない。

勝利宣言が行われた列のカードを対象に取ることは出来ない。したがって、「逆転される見込みのない勝ち列」に対し、急いで勝利宣言を行わず、この戦術カードの可能性を考慮して「勝利宣言を保留する」というプレイも存在する。

2.2. 脱走(デザーター)

「相手の部隊カード1枚もしくはマイティ系戦術カード1枚をゲームから除外する」戦術。後述の「霧(フォグ)」や「沼(マッド)」は「列に対してプレイする戦術カード」であるため、この戦術で除外することはできない。

アレクサンダー(またはダリウス)を除外した場合、そのプレーヤーがもう1枚のリーダーを持っていたとしても、「アレクサンダーとダリウスは一人で両方使えない」という制約は残り、使うことは出来ない。

「相手のウェッジを崩すためにデザーターを打ったけどリーダーでカバーされた」、「ウェッジが否定された列にオールマイティを使ったけどデザーターでリーダーを除外された」といった感じで、デザーターとリーダーが「いってこい」になる、というケースも少なくない。

普通は「相手が3枚カードをプレイした列」に使うが、「相手のカードが2枚の列に、空きスロット目的でまくり目を否定する」という、いわゆる「ベーシックデザーター」というテクニックも存在する。

2.3. 配置転換(レデプロイ)

「自陣の部隊カード1枚もしくはマイティ系戦術カード1枚を別の列に移動させる、もしくはゲームから除外する」戦術。

この戦術カードは有効利用が難しいため、戦術カードの中では比較的弱い部類に分類される。

マイティ系戦術カードを対象に取れるので、たとえば、「リーダーで勝ちに行きました。でも、戦術カードでまくられました。では、負け列にリーダーがいるのはもったいないので、配置転換で移動します。」といった使い方が可能。

また、このゲームは、後述の「霧(フォグ)」という戦術カードが非常に強く、「霧(フォグ)」を使われた列はまくるのが非常に困難なのだが、「この戦術カードを使用して小さい数字のカードを除外して大きい数字を出してまくる」というプレイ(通称「きりかえし」)が存在する。レデプロイは比較的弱い戦術カードなため、強い戦術カードの「霧(フォグ)」の列をまくることが出来れば大儲けである。「霧(フォグ)」を使う時は、「きりかえし」をくらわないよう注意が必要。

また、早いタイミングで戦術カードを引くスタイルで、序盤に雑に「1,1,2」みたいに出して、相手がそれより大きいホストやスカーミッシャーといった弱い陣形を組んだ途端、この戦術カードでその2を除去して、ファランクスで勝つ、という「レデプロイ・トラップ」というテクニックも存在します。ある程度経験を積んだプレーヤーは、戦術を持っているプレーヤーが雑に「1,1,2」みたいに出したら、「レデプロイ・トラップ」を疑って、迂闊に弱い陣形は組まないのが普通なので、いわゆる「初見殺し」。

また、このゲームは、「後手は、相手の出方を見て陣形を組めるので比較的有利」と言われることが多いのですが、早いタイミングで戦術カードを引くスタイルでこの戦術カードを引いてしまった場合、雑に1とか出して、すぐにその1を除去することで、「先手の場合2手分、後手の場合3手分」、相手より後にプレイすることが可能になります。ただし、このゲームの「戦術ロック」は大きなディスアドバンテージであるため、それは覚悟する必要があります。

3.列に対して使う戦術2種

3.1. 霧(フォグ)

「この戦術カードが使用された列はすべてのフォーメーションを失い、単純な数値の合計勝負となる」、という戦術です。

作者ライナー・クニツィアは、「優れたゲームデザイナーは、優れたプレーヤーであるとは限らない」と前置きした上で、「私は、最も強力な戦術カードはリーダーだと思っている」と発言しました。しかし、我々の間では、最強の戦術カードは「霧(フォグ)」ということで一致しています。リーダーはデザーターで対処されますが、フォグを使用した列はまずまくられないので、ほぼ確実な1勝が計算出来ます。

この戦術はほぼ確実な1勝が計算出来るため、「2列を『偶然』で勝って、最後の1列をフォグの『必然』で勝って3点突破」という使用法が美しいです。

場合によっては、「相手の3点突破を防ぐため、仕方なくフォグで1列守る」、という、いわゆる「ディフェンシブ・フォグ」という使い方をすることもあります。ただ、この戦術は非常に強力なため、「出来ればこのような使い方はしたくない」、というのが本音です。

3.2. 沼(マッド)

「この戦術カードが使用された列は3枚勝負ではなく4枚勝負となる」、という戦術です。

この戦術は、序盤、中盤では活躍の機会が薄いですが、終盤は、「既に6枚見えている数字の相手のファランクスの列に使用してホストを誘う」、とか、「既に相手の4枚ウェッジが否定されている相手のウェッジの列に使用してバタリオン以下を誘って4枚ファランクスで勝つ」といった使い方がなされ、テイスト的には「脱走(デザーター)」とほぼ同等の振る舞いを見せます。

私のバトルラインの師匠であるAKA(メカダリウス)さんは「初手戦術ドロー派」なのですが、「初手で沼(マッド)を引くと困る」と言ってました。

4. その他1種

4.1 偵察(スカウト)

この戦術はかなり特殊で、「部隊デッキまたは戦術デッキから好きな組み合わせで3枚引く。そして、手札のカード2枚をデッキの上に戻す」、そして手番終了です。デッキの上に戻すカードは今引いた3枚である必要はなく、もともと持っていたカードでも構いません。

我々の間では、最初は「引く3枚は、カードを引く前に、『どちらのデッキから何枚、どちらのデッキから何枚』とコールしてから引く」というルールでしたが、その後、「この戦術は弱いので、1枚ずつ引いて、それを見て次どちらからドローするか決めてよい」というルールに変更されました(説明書にはこのへんの細かい記載はない)。

カードゲームは、「デッキ操作」が強いゲームも多いですが、このゲームのこの戦術カードは、「かなり弱い部類」に分類されます。「配置転換(レデプロイ)」と「偵察(スカウト)」が「2弱」といったイメージです。

そんなスカウトですが、初手戦術派には、通称「貯金箱」と呼ばれるテクニックが存在します。

初手でスカウトを引いたら、2手目でスカウトを打ち、戦術カードを3枚引き、「強い戦術カード」「弱い戦術カード」の順に戦術山に戻し、戦術カード1枚は手札に抱えます。そして、「もし相手がフタの『弱い戦術カード』を引いたら、自分も戦術山からドローして『強い戦術カード』を入手する」というプレイをします。

なお、Facemanは「昔は「初手戦術派」だったが、今は守破離して初手戦術をやめた」という経緯を持つので、必然的に貯金箱の機会も減ったのですが、初手戦術派のAKAさんによると、「相手が戦術カードを引いていない場合は、スカウトで引く戦術は2枚にして、自分も部隊7枚で戦う」そうです。

戦術山から3枚引いた場合、残す1枚は、相手の戦術に対応できるカードが望ましく、「相手のリーダーに対処できるデザーター」や、「相手のデザーターに対処できるリーダー」を残すケースが多いようです。

フタにする戦術カードは、「レデプロイ」が理想ですが、レデプロイを引かなかった場合、「沼(マッド)」や「盾(シールド・ベアラー)」あたりが候補のようです。

貯金箱以外の使用法としては、ゲーム終盤は部隊デッキのクオリティが高いことがあるので、「部隊カード3枚を引く」、というものです。うまくいくと2勝分の働きをすることもあります。スカウトは非常に弱い戦術カードですが、稀に、「軍3スカウトだけが唯一の正解だった」、みたいなゲームもあります。